技術のご提案
SEC練混ぜとは…
SEC(エス・イー・シー)練混ぜは、コンクリート製造時に練混ぜ水を分割投入することにより、コンクリート中のセメントペーストを改質し、骨材表面を造殻することで、コンクリートの品質を改善する技術です。(配合水を分割して投入し、練混ぜを行うため、「分割練混ぜ」とも呼ばれます。)
※ 練り混ぜ時間を短縮できるHyper-SECをリリースいたしました。詳細はこちら(Hyper-SEC(H-SEC)練混ぜ)
〈 SEC練混ぜコンクリートの一般特性 〉
- ブリーディング率が40%以上低減
- ポンプ圧送性が向上
- 凍結融解抵抗性は同等以上
- 練り混ぜ方法の変更のみで、特別な機械・材料は不要
※ 建設技術審査証明 一般コンクリートとしての特性を参照(審査証明技術(概要) | JACIC HP)
〈 吹付けコンクリートに採用する主な利点 〉
- 跳ね返り、粉じんが10%以上低減
- 材齢28日のコア圧縮強度が10%以上増加
〈 ダム・打込みコンクリートに採用する主な利点 〉
- 圧縮強度が5%程度向上
- 振動流動性、充填性が向上
- 骨材界面を改質し脆弱層を低減
吹付けコンクリートに採用する主な利点について
■ 跳ね返り、粉じん10%以上低減
以下は、実大模擬トンネルで行った一括練りとSEC練りの比較実験結果である。[1]
SEC練りにすることで、粉じん、はね返りは低減され、初期強度は増加している。
■ 材齢28日コア圧縮強度が10%以上増加
下記は建設技術審査証明での吹付けコンクリートの配合及び実験結果である。[2]
はね返りや粉じんは10%以上低減され、28日強度は10%以上増加することが証明された。

[1] 髙野、鈴木、大下、波田. (2005). 粉じん低減を目的に実施した実大模擬トンネルでの吹付け実験(その5). 土木学会第60回年次学術講演会公演概要集.
[2]建設技術審査証明の吹付けコンクリートにおける実験配合(審査証明技術(概要) | JACIC HP)
ダム・打込みコンクリートに採用する主な利点について
■ 圧縮強度5%程度向上
以下は、一括練りとSEC練りにおける材齢28日および材齢91日の圧縮強度の配合及び比較結果である。
SEC練りにすることで、圧縮強度は5%程度増進している。
これにより、コンクリートの耐久性向上も期待できる。

■ 振動流動性・充填性が向上
下記に、RCD用コンクリートにおける締固め特性を検証したものを示す。[3]
表の配合条件で大型のモールドに詰め、上面から起振機(質量220㎏、振動1810rpm、振幅1.2㎜)で締固め、表面の沈下量を測定したものである。
結果は図に示す通り、一括練りに比べSEC練りの方が沈下量が大きく、早い時間で締め固められることが分かった。
締固めで得られた結果(沈下量が大きい)から、重力式ダムで重要なコンクリート密度の向上が期待できる。
[3]豊田、長瀧、上阪、楠見、飯田、、田村.(2007).C-7ダムコンクリートにおける新しい練り混ぜ方法 . ICOLD第22回大会提出論文(その4)
■ 骨材界面を改質し脆弱層を低減
下記に、走査型電子顕微鏡(SEM)での観察結果を示す。[4]
SEC練りによって硬化コンクリートのペーストと骨材界面の形成される脆弱層(遷移帯)を低減・改質される。また、鉄筋や鉄骨の下面の空隙も減少させることができ、密実で強度増進したコンクリ―トになる。
ダムの要求品質として重要な水密性の向上が期待できる。
[4]塩永、戸田、伊藤、高橋. (2014).ダムコンクリートにおける新しい練混ぜ方法 . コンクリート工学年次論文集