SEC練混ぜとは

SEC(エス・イー・シー)コンクリートは、コンクリート製造時に練混ぜ水を分割投入して練混ぜることにより、コンクリート中のセメントペーストを改質し、骨材表面を改善し、造殻*することを特色とします。
(配合水を分割して投入し練混ぜるので「分割練混ぜ」とも呼ばれます。)
*造殻とは、骨材表面に一次水で練混ぜた濃いセメントペースト層を形成させることです。

具体的な練混ぜ手順を図で示します。
下図は練混ぜの過程で、材料をミキサに放出する順序を示しています。

S : 細骨材
C : セメント
G : 全粗骨材
G1 : 粗骨材(ミキサにより決定)
G2 : 粗骨材(=G-G1)
W1 : 一次水
W2 : 二次水
Ad : 混和剤(必要に応じて)

注)W1+W2およびG1+G2が所定の計量精度を満足するものとします。

一次練りの役割

先ず、一次水と骨材を混ぜ、水を骨材表面に一様に分布させます。
次に、セメントを投入し、骨材表面において一次水とセメントで濃いセメントペースト(キャピラリー状態)を練り、そのペーストで骨材を殻のように覆い、骨材表面の汚れ・欠陥等を改善します。

二次練りの役割

二次水を加え、所定の水セメント比の改質されたペースト(キャピラリーペースト)を骨材と均質に練混ぜます。
これにより、コンクリートとしての必要な流動性が得られます。
キャピラリーペーストとは、セメントと一次水をキャピラリー状態で練った後、二次水を加えてスラリー状としたペーストです。
キャピラリーとは、粉体が液体と混合されるとき液体の量に応じて変化する下図の4相の一つです。

イメージ:二次練りの役割

キャピラリー状態では粒子間の結合力が最大となり、練混ぜトルクも最大となります。

SEC練混ぜの効率性

SEC練混ぜは、一次練りで砂などの骨材とセメントを練混ぜ、骨材を造殻します。
セメントを一次水で練混ぜるときに、骨材と一緒に練ることで、次のような理由でキャピラリー状態の練混ぜが効率的にできます。
1)ミキサー羽根が骨材を介して濃いペーストを練るので、より広範囲にエネルギーを伝播させることができる。
2)混練時に骨材がこすれ合うことで、骨材表面でセメントペーストを効率よく練ることができる。
したがって、粘性のある固いセメントペーストだけを練るのに比べ短時間で練混ぜることができます。

改質されたキャピラリーペーストの特長とその要因

コンクリートの一次練りでキャピラリー状態の練混ぜを経たペースト(キャピラリーペースト)には以下のような優れた特長とその要因があります。

  • ブリーディングが少ない 
    (静置時、加圧時、加振後 共に少ない)
  • 流動時あるいは振動下で流動性が良い 
    (塑性粘度が小さい)
  • 静置状態から動きだしにくく、分離しにくい 
    (降伏値が大きい)
  • 時間経過の流動性の変化が小さい
    (初期こわばりや塑性粘度の変化が小さい)
  • ダマが少ない
    (粉体と水の混ざりが均一となる)

これらの特長がコンクリート・モルタルとしたときにその長所として表われます。